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Channel: カレー&スパイス伝道師☆ブログ
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南インド料理の基本となるカレー「サンバル」はこう作る

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8月某日

 私がプライベートで最もよく作るカレーは「ダール」「ラッサム」そして「サンバル」だろう。

 サンバルSAMBARは東南アジアの辛いペーストSAMBALとは別もの。私が初めに修業した老舗インドレストラン「アジャンタ」のメニューには「野菜入り豆カレー」と書いてあり、何だかとてもおいしそうに感じた。

 アジャンタのメニューにはサンバルではなく「サンバー」あるいは「サンバ」と表記されていたはず。

 浅野哲哉さんの名著『インドを食べる』(今すぐ復刊すべきだ)にも、たぶん「サンバ」か「サンバー」で載っていたように思う。

 それを「サンバル」としたのは、やっぱり私の本なのかなあ、と思ったりする。インド人は英語のRを発音してしまう。それを書くとこうなるのだ。

 さて、おいしいサンバルは案外日本に少ない。

 ラッサムとサンバルの味や濃度が似ていたり、ダールに野菜を入れただけのようなサンバルもある。私にすれば、全部ダメだ。

 日本のインド料理本に書いてあるサンバルのレシピ。ウーム、申し訳ないが、これまた首をかしげるものが多い。

 拙著『新版 誰も知らないインド料理』(光文社 知恵の森文庫)、『カレー大全~カレー伝道師の160話』(講談社)、『カレーな薬膳』(晶文社)等にサンバルのレシピを掲載してある。どれも、少しずつ変えてあり、それだけバリエーションがあるということだが、本質は変わらない。

 サンバルをサンバルらしくさせるのは
・スパイスとしてのコリアンダーの香り(香菜ではない。粒をつぶすと特によい)
・タマリンドの酸味
・ヒングの香り
・トゥール・ダールの風味
 こういった要素だ。そして、同時にこれらは「ダールカレー」と「サンバル」の違いでもあるし、一部は「ラッサム」との違いにもなる。

 サンバルは「インド料理の中で最も野菜の風味がよくわかるカレー」の1つでもある。だから、とりわけベジタリアンの方は習得するとメニューの幅が増える強い味方だ。

『新版 誰も知らないインド料理』(光文社 知恵の森文庫)のレシピでナスのサンバルを作ってみた。
イメージ 1
 これはほぼ本場仕様のはず。風味はもちろん、色や質感とも及第だと思う(本場より具は多い)。

 もともと、私のサンバルのルーツは「アジャンタ」時代の師、マニさんだ。当時「アジャンタ」の南インド料理シェフだったマニさんの作るサンバルは絶品だった(当時、日本にトゥール・ダールは輸入されておらず、ムング・ダールで作っていたにも関わらずスゴかったのも脅威)。もちろんインドに行っても同じ味だったし、それよりマニさんの方がウマかったかもしれない。写真のサンバルも、まあまあマニさんのに似ていると思う。

 ちなみに今月「サザンスパイス」ではサンバルのレッスンもある。興味のある方はぜひおいでいただきたい。

《このブログを書いているときのBGM》
TRAFFIC『THE LOW SPARK OF HIGH HEELED BOYS』(1971)
 日本では人気のなかった渋い英国バンドの名盤。ファンキーでソウルフルでトラッド。
http://www.youtube.com/watch?v=vpFIw_CngUE
 当時のライヴ。カッコいい。

★本場仕込みのインド料理、簡単でおいしいスパイス料理の教室なら「サザンスパイス」へ!




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